探偵業法における盗聴器や盗撮器の発見調査
探偵業の業務の適正化に関する法律(以下、探偵業法という)では、盗聴器や盗撮器の発見調査(盗撮器・GPS発信機を含む)は探偵業法で規制する探偵業務には該当しないとなっています。
探偵業法 第二条 (定義)
この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。
探偵業が盗聴のノウハウを持つ理由
盗聴器の発見調査を行うには、盗聴波や盗聴手法など盗聴に関するノウハウが無ければ簡単にはできません。
では、探偵業務ではないとされる盗聴器の発見調査を何故探偵業が行ってきたかというと、以下の理由が存在します。
昔は盗聴を専門とする探偵業者が存在した
昔(といっても20年以上前)は、自宅の固定電話などの盗聴を専門とする業者が実際に存在しており、その中には探偵社の名称を使う業者もありました。
探偵業者が調査を行う過程で、盗聴による情報が必要となった場合、そのような盗聴専門業者を使うといったケースがあったのです。
盗聴専門業者と同じ現場で調査をすることにより、盗聴の方法や使用される機器といった盗聴のノウハウを学ぶことができた結果、盗聴器を探す出す方法が確立されたということです。
但し、現在は様々な法律に抵触する可能性があることから、依頼人の意思によって居住されている自宅や車両を盗聴するなどといった特殊な状況を除き、探偵を含めた業者がどこかに忍び込んで盗聴器を仕掛けるといったリスクが高い犯罪に手を出すことは、まずあり得ないでしょう。
※盗聴専門業者の存在を耳にすることさえ無くなりました。
探偵業法 第六条(探偵業務の実施の原則)
探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者(以下「探偵業者等」という。)は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。
盗聴を探偵社に依頼してはいけません
違法行為を伴う盗聴を引き受ける探偵社は皆無であると思いますが、もし、引き受ける悪質な業者があったとしても、違法行為を引き受けるような業者である以上、まともな調査を期待できないばかりか、危機管理に対する意識も低いでしょうから、発覚した場合は依頼人も教唆罪に問われる可能性があります。
刑法第61条(教唆)
人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。